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天守物語について。ACT.JT

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松坂慶子の朗読しばい

楽劇 天守物語

富姫(松坂慶子さん)登場シーン

「天守物語」は松坂慶子さんがライフワークと考える作品です。泉鏡花の台詞は美しく、難しい古い言葉ではありません。その抑揚やリズムは、今は失われてしまった日本文化そのものと言えるでしょう。今まで、椅子に座って読み進める朗読や、能舞台での芝居として公演してきましたが、今回は「朗読しばい」という方法で表現しました。一人の女性が「天守物語」という本に出会い読み始めると、その物語の世界が立ち上がり、言霊にひかれるように登場人物たちが動き出す。そして彼女自身も主人公として、その世界を旅する様をご覧いただきます。


番楽

公演会場地元の市民参加を募って大田楽の中の「番楽」を指導し、一緒に一場面を作るという試みもしています。音楽や舞と一体になった「楽劇天守物語」は日本文化を未来に継承する作品として、また地域に密着しその活性化に寄与する作品として、今後継続して上演してまいります。

「楽劇天守物語」あらすじ

時は現代、あたかも天界から降ってきたかごとく一冊の本に一人の女性がすい寄せられていきます。それは泉鏡花の「天守物語」。

鏡花の言霊にひかれて現れた登場人物たちは本の読み手もいざなって物語をつむぎ始めます。

時は封建時代。

姫路の白鷺城の天守には人ならぬものたちが棲みつき、人間が立ち入ることを許さず、下界を眺めながら超然と暮らしていました。彼らの主は、美しく気高い天守夫人 富姫。

ある日、はるばる猪苗代から妹の亀姫が遊びに来ます。土産は自分の住む城の主でこの白鷺城主の弟の生首です。富姫は、お返しに下界から城主の鷹を取り妹に贈ります。

亀姫が帰った後、その鷹の行方を追って鷹匠 姫川 図書之助が天守にやって来ます。図書之助に一目で恋をした富姫は、命をとらず、ここへ来た証として兜を持たせて帰します。

人間界へ戻った図書之助が、逆に兜を盗んだ謀反人にされてしまいます。討手においつめられた図書之助は、富姫のもとへ戻り、人間界に別れを告げる決心をします。しかし討手は天守まで上がり、獅子頭に隠れた富姫と図書之助を襲い、獅子頭の目を傷つけ二人の目は見えなくなります。悲嘆にくれて絶望する二人の前に現れたのは、この獅子頭を彫った桃六でした。

松坂慶子さんとACT.JT そして「天守物語」

松坂慶子さんと故野村万之丞師はNHKのドラマで出会いました。1999年放映のNHK正月時代劇「加賀百万石〜母と子の戦国サバイバル」と、2001年放映のNHKスペシャルドラマ「聖徳太子」でした。

これらのドラマに芸能考証、文化監修として作品づくりに協力していた万之丞氏のもとに、松坂さんが現れました。ライフワークである「天守物語」の演出をお願いしたいという松坂さんからのご依頼を受け、2001年初夏、東急セルリアンタワー能楽堂で、「天守物語」が上演されました。

「日本の文化はみな○○道というがそれを全部集めた作品にしよう」と万之丞氏は言われました。能舞台の橋掛かりの手前にある松の代わりに池坊由紀先生の作品(華道)が飾られ、物語の中で富姫と亀姫がお茶をたてる場面では、小堀遠州流の先生がご指導くださいました(茶道)。闘いの場面は殺陣を風間健先生に振付していただきました。(武道)。そして、人間国宝、野村萬師、花柳寿南海師が出演、ほかにも李礼仙さん、麿赤児さん、富田靖子さん、及川健さんら様々なジャンルで活躍されている方々が異種格闘技のように顔を合わせたのでした。(芸道)。奄美のシマ唄で始まるその舞台は、もう二度と再演できない伝説になりました。

万之丞氏の急逝後、しばらく松坂さんは天守物語から遠ざかっていました。ある時、石川県加賀市の山代温泉を訪ねられ、旅館のおかみさんや、山代わざおぎと語らう機会があり、大田楽に興味を持たれました。万之丞氏の世界に身をおいてみたいということで、翌年から参加される事になりました。その後、山代大田楽や、伊東大田楽、伊勢大田楽に、時にはお二人のお嬢さんも一緒に出演されました。

それをきっかけに新しく「天守物語」を立ち上げることになりました。演出はNHKの演出家黛りんたろう氏です。「義経」でも大変お世話になりました。新しい天守物語は、朗読ではあるけれど動きのある作品にしたいというお願いと、最後の場面に市民参加の番楽を出したいという依頼をお引き受けくださり、「朗読しばい 天守物語」は誕生しました。2008年に初演、その後、国内公演だけでなく、2009年にはハワイホノルル公演、オーストリアウィーン公演を実施。2012年にはナレーターにセイン・カミュさんを迎え、ワシントン・フィラデルフィア公演を催しました。桃六と朱の盤坊の二役を野村万蔵師、図書之介に松田一亨さん、野沢聡さん。亀姫に菅原香織さん、薄は劇団ひまわりの演出家でもある山下晃彦さんが演じ、音楽は、稲葉明徳さん、和田啓さん、友吉鶴心さんが参加しました。天守物語も松坂さんが一人で始められて10年がたち一段落しましたが、また機会があれば、再演したいと考えています。