真伎楽とは
今から1500年前の日本に「伎楽」という芸能がありました。それは、頭がすっぽりと入る大きな仮面をかぶって踊る、仮面舞踊劇で、日本の芸能のルーツと言われています。
古の時代、アジアは一つの文化圏の中にあり、共通の文化を持っていました。そこから生まれたのが、仮面舞踊劇「伎楽」でした。「伎楽」は新石器時代のユーラシア大陸に伝わる神話を元に作られ、様々な宗教と交わりながら各国に伝播していきました。日本には1500年前に百済の味摩之(みまし)が伝え、聖徳太子が子どもたちに教えたという記録が残されています。鎮護国家芸能として寺社などで盛んに上演されましたが、平安後期には滅んでしまい、今では正倉院や法隆寺に、痕跡を伝える伎楽面が現存するばかりです。
野村万之丞氏は本職である狂言の仮面との出会いをきっかけに、仮面を追及し、たどり着いた「伎楽」を再生したいとアジアをフィールドワークしました。構想から10年、2001年、アジア各国の俳優やダンサー、音楽家を集め、ディスカッションとワークショップを重ね、新たな伎楽、真の伎楽の再生に着手しました。「楽劇真伎楽」はこうして誕生しました。
また、シルクロードを伝わって日本にきた芸能を、新たに再生した「真伎楽」で溯り訪ねた地の俳優や音楽家たちとコラボレーションしながら、その国その国の「真伎楽」を作って行こうというプロジェクト「マスクロードプロジェクト」をスタートさせました。
マスクロードプロジェクトは、2001年10月東京都庁前広場で初演し、以降、奈良明日香、福岡県:太宰府公演を経て韓国へ渡り、扶余(プヨ)とソウルで上演しました。この道は、1499年前に百済の味摩之(みまし)が日本に伎楽を伝えた道の逆流で、まさに文化の里帰りといえるものでした。ソウル景福宮公演では日韓両国の子どもたちが多数参加し、盛り上がりました。2002年にはワシントンスミソニアン博物館にて上演、2004年には、日米和親条約締結150周年記念事業メインイベント「楽劇日本楽」の一部として、ケネディセンター大ホールで上演しました。続いて、北朝鮮平壌における「4月の春親善芸術祝典」にて公演、パレードにも参加し喝采をいただきました。こうしてマスクロードは高句麗へとその道を延ばしたのでした。
野村万之丞氏没後、その遺言でもあった中国公演を2007年に実施しました。日中国交正常化35周年、遣隋使1400年記念事業の一環として、北京・西安・上海・揚州で上演しました。
「ユナイテッドステイツ オブ アジア」という発想は、10年早く先取りした考えで誠に万之丞氏の死は惜しまれますが、アジアが共に手を携えて生きようという心を真伎楽という作品により、これからも発信していきたいと考えております。
真伎楽中国4都市公演
日中国交正常化35周年記念
遣隋使1400年記念
日中文化スポーツ交流年認定事業
文化庁 平成19年度国際芸術交流支援事業
上演日程
■北京 2007年10月26日(金)
中国対外人民友好協会ホール【共催:対外友好協会】
■西安 2007年10月28日(日)
大唐西市特設ステージ ※デモンストレーションのみ 【共催:西安対外友好協会】
西安外事学院ホール 【共催:西安外事学院大学】
■上海 2007年10月30日(火)
世紀広場ステージ 【後援:在上海日本国総領事】
■揚州 2007年11月1日(木)
大明寺 九重塔前広場 【共催:大明寺/後援:揚州市外事弁公室】
主催
マスクロードプロジェクト「真伎楽」実行委員会
共催
中国対外友好協会/社団法人日本中国友好協会
後援
ユネスコ本部
在中華人民共和国日本大使館(申請中)
入場料
無料
公演内容
ワークショップ
「楽劇真伎楽」の上演(約90分)
公演団
団長・西原春夫
(NPO法人アジア平和貢献センター理事長・元早稲田大学総長)
以下総勢25名